第8回
出会う場所
ご高齢者向けのメニューを考えています。
計算と運動、両方のタスクが効果的になるよう、手が届くか届かないかギリギリのところを考える・指示をするのがわたし(サワ)の役目です。
これまでは子どもを主な対象として考えてきました。わたしも昔は子どもでしたので、気持ちや運動能力はまあまあ想像できます。そのお父さんやお母さんと一緒にやる親子たいそう、はたまた大人だけのクラスでもメニューや指示を大きく変えることなくやってきました。
これは、たいそうから皆さんの計算、運動へと2つの指示が出ているような状況です。
た→計算
い
そ
う→運動
人生の先輩であるご高齢者向けのメニューは様子が違いました。体のどこを鍛えたほうがよいのか。どんな計算ができると心地よいのか。ちゃんとしたプログラムの提供には、わたし自身に今までとは違う知識が必要であることがわかり、専門家の力を借りました。
やや乱暴ですが、この状況は、
計算→た
い
そ
運動→う
と表せます。この2つを合わせれば、
計算→た→計算
い
そ
運動→う→運動
となります。
左側がご高齢者、右側が子どもらの計算・運動です。たいそうが出会う場所のようになっています。
この春からの新しいご高齢者向けのクラスに備え、先日、お試しクラスを行いました。その場でも多くの発見があり、とても勉強になりました。まだ名前も決まっていない新しいメニューの1つは、百人一首の試合のように向かい合って座り、手や頭を動かすものです。そのメニューにおいて一方におばあちゃんが、向かい側にお孫さんが座りました。細かい指示がなくとも、自然と協力してタスクをクリアしていく様子に胸が熱くなりました。おばあちゃんとお孫さんはいつもとは少し違うかたちで出会っているように見えました。
このメニューはこちらのちょっとの指示で協力的にも、相手に意地悪ができる競争的にもできます。単純なメニューで実現するちょっと複雑な仕組み。4月で5年目に入るたいそうは出会い・交流の場でありながら、同時に、わたし自身が遊んでもらっているようでもあります。
[サワ]