第4回

分割のほうの無限へ


数楽たいそうでは全身で数を表現します。15がひとつの区切りの数です。小さい子ははじめのうちはうまくできません。でも実は大人も最初は上手にできません。1から15まで間違いなくできたときの、ちょっと満足そうな顔は大人も子どもも同じです。

 

ひとつ違うのは、多くの子どもは15の達成感もそこそこに「16はどうするの?」と聞くことです。素敵な質問です。わたし(サワ)は「どう思う?」と聞き返します。いろいろな答えが返ってきます。その答えを尊重したうえで、とっさにアレンジして返すのがわたしの仕事です。15の次の区切りは31。そこでまた「その次は?」。しばらくしてまた「その次は?」。「無限」の文字の通り、限りがないです。

 

無限は多くの子どもを惹きつけます。小さいときのわたしも同じでした。どんどん増える大きい数は果てしない宇宙のようで、ロマンがありますね。でも日常生活では10や100、せいぜい1000や10000ぐらいまでで充分でしょう。

 

15の次は? 31の次は? どんどん増える「大きい無限」だけが無限ではありません。15は10+5です。2+13でもあります。数楽たいそうに慣れ親しんだ子は1+2+4+8と答えるでしょう。かけ算にすれば3×5、マイナスを許せば-10+25、分数で書けばその表現はさらに増え、バリエーションは「無限」です。

 

15に対して16を示すのでなく、15の表現を考える。「大きい無限」でなく「分割のほうの無限」に親しむ。有限な日常で生活するわたしたちには、そのほうが大切かなと考えています。

[サワ]