第2回

2次元の指導


 

数楽たいそうでは、数学と身体運動の2つの難易度を設定して指導しています。

 

幼稚園・保育園年長ぐらいまで5までの足し算も最初はおぼつかない。その一方で小学校中学年だと九々もできるし、計算のちょっとした工夫もできます。

 

身体運動の能力にもばらつきがあります。小さい子はその場連続ジャンプも難しい。対して、大人顔負けの見事なターンを見せる子もいます。

 

パトスタジオのクラスではひとりずつ指導をするメニューがあります。目の前に立った子に合わせたお題(と言っても正の整数を1つ伝えるだけなんですが)をその場で考えます。数学で1軸、運動で1軸、合計2軸でできる平面上の1点、お題のイメージはこんなところです。数学面は3、運動は5、で座標 (3, 5) のお題みたいな。

 

参加の子は皆、見ていて気持ちいいほどに全力です。同様に、お題を出す側(サワ)にも高い集中力が必要です。さっきはこれができたから次はもう少し難しい計算を、でも身体運動としてはまだここまで。その子・その瞬間の数学、運動の能力にあっているか。お題となる数の提示は瞬間的な真剣勝負。クラス後はいつも少しヘトヘトです。

 

数楽たいそうのプレーヤーは数学と運動、2つの能力を駆使します。ややもすれば集中力が散漫、落ち着きがないと思われている子に(こそ)数楽たいそうは向いているのかしれません。注意があちこちにいくのは、与えられたタスクに対して能力が上回っているだけ。マルチタスクができる子は1次元でなく、2次元的な処理が可能とか。

 

ある日のクラスに日本語がほとんどできない小学生が来ました。下手な英語で指導をするわたしは、その日、参加者の名前を間違え続けました。もともと2次元のお題提示に四苦八苦、3軸目の英語でパンクをしたのでしょう。日常的な言語能力で問題が吹き出したかたちです。わたし自身がマルチなタスクにさらされています。

[サワ]